美容師をしていると必ずお客様に聞かれることが
『おすすめのシャンプーって何ですか?』
『市販でいいシャンプーってありますか?』
という質問です。
多くの方がシャンプー選びに悩んでいますよね。
『何となくサロンシャンプーの方がいいのはわかるけど、よく知らないし私に合わなかったら高いお金が無駄になっちゃう』
なんて心配されている方がほとんどではないでしょうか?
今回は市販のシャンプーとサロン専売シャンプーのメリットやデメリット、シャンプーの種類や選び方をお伝えします。
市販のシャンプーとサロン専売シャンプーの違い
ドラッグストアなどで販売されているシャンプーと、美容室で販売されているサロン専売シャンプー。
平均すると約7倍もの価格差がありますが、実際の違いについて知っている方は少ないのではないでしょうか。
では、市販のシャンプーとサロン専売シャンプーの特徴とデメリットについて解説していきます。
市販のシャンプーの特徴
市販のシャンプーの良さは何と言っても購入のしやすさでしょう。
価格も安く、ドラッグストアやスーパーでも購入することができます。
そんな市販のシャンプーの特徴は
- 泡立ちが良い
- 洗浄力が強い
- 指通りがよく洗いやすい
- 価格が安く、手軽に購入できる
この辺りでしょうか。
最近では、パッケージのデザインも可愛らしいものが増えてきていますね。
ではデメリットにはどんなものがあるでしょうか。
- 洗浄力が強いため、髪や頭皮がダメージする
- カラーやパーマのもちを悪くしてしまう
- 髪の補修効果が少ない
- 強い洗浄力で、髪や頭皮に必要な油分も落としてしまい、髪や頭皮が乾燥する
このようなデメリットがあります。
安い価格で手に入ることはとても魅力的ですが、髪や頭皮にそれ相応の負担がかかるのです。
キレイな髪を目指すのであれば、できる限り髪や頭皮への負担は避けたいところですね。
サロン専売シャンプーの特徴
ではサロンシャンプーはどうでしょうか。
サロンシャンプーは質が高く、それに伴い価格も高めです。
実際の特徴として
- 洗浄力が優しく、髪のダメージが少ない
- 髪に優しく、カラーやパーマのもちを向上
- 髪の悩みに合わせて選べる
- 効果の高いケア成分を配合
主な特徴はこのようなものです。
サロンシャンプーは、実際に美容師に悩みを相談しながら選べることも強みの一つでしょう。
そんなサロンシャンプーにもデメリットがあります。
- 価格が高い
- 購入場所が限られている
- 髪質や肌質が合っていないと失敗することもある
最近ではネットなどでも購入が可能になったサロンシャンプーですが、その質の高さから『悩みをピンポイントでケアする』という特徴があります。
ですので、美容師に相談せず独断で購入すると、髪質に合わずに後悔してしまうなんてこともあるかもしれません。
美容室に行ったときに、担当の美容師さんに相談してアドバイスをもらうのがオススメです。
シャンプーの種類
サロンシャンプーの価格が高い理由は、内容成分の質の高さとそのコストにあります。
サロンシャンプーの多くはアミノ酸が主成分の洗浄剤で作られていて、髪や頭皮に低刺激です。
髪の8割はタンパク質で構成されていて、アミノ酸が多数結びついてできたものがタンパク質になります。
つまりアミノ酸主成分のシャンプーは、髪に必要な栄養素で作られていると言えるのです。
最近ではSNSなどでもよく聞くようになった『アミノ酸系シャンプー』ですが、シャンプーには大きく分けて4種類あります。
- アミノ酸系シャンプー
- 高級アルコール系(石油系)シャンプー
- ベタイン系シャンプー
- 石けん系シャンプー
それぞれどのような特徴があるか見ていきましょう。
アミノ酸系シャンプー
美容室で使われるシャンプーのほとんどがこのアミノ酸系シャンプーです。
髪や皮膚のタンパク質を構成するアミノ酸と同じ成分で作られていて、マイルドな洗浄力で低刺激なのが特徴になります。
髪や頭皮に必要な油分を落としすぎないので、乾燥肌の方や髪のパサつき悩んでいる方には特にオススメです。
主なアミノ酸系の成分表示
- ココイルグルタミン酸Na
- ココイルグルタミン酸TEA
- ラウロイルグルタミン酸Na
- ラウロイルメチルアラニンNa
- ココイルメチルタウリンNa
高級アルコール系(石油系)シャンプー
ドラッグストアなどで販売されている市販のシャンプーの多くがこの高級アルコール系シャンプーです。
石油や植物油を化学合成して作られ、泡立ちがよく洗浄力が強いのが特徴になります。
浸透力も高く、身体の保湿成分も分解してしまうほどの洗浄力です。
基材のコストが安価なため大量生産されています。
頭皮環境の改善や髪のダメージ補修効果は見込めません。
主な高級アルコール系の成分表示
- ラウレス硫酸Na
- ラウリル硫酸Na
- オレフィン(C14-C16)スルホン酸Na
ベタイン系シャンプー
アミノ酸系シャンプーと並んで美容室で使われるのがベタイン系シャンプーです。
植物由来で低刺激、ベビーシャンプーにも使用されるほど優しい洗浄力で、きめ細かい泡立ちにより使用感にも優れています。
ただし、そのマイルドな洗浄力により脂性肌の方やスタイリング剤を多用する方は洗い上がりに物足りなさを感じるかもしれません。
敏感肌やダメージ毛の方にオススメです。
主なベタイン系の成分表示
- ラウラミドプロピルベタイン
- コカミドプロピルベタイン
- ココアンホ酢酸Na
石けん系シャンプー
植物や動物の油脂をアルカリ反応させた自然由来の洗浄剤をベースに作られたのが石けん系シャンプーです。
肌や環境にも優しく、敏感肌の方でも使えますが、洗浄力や脱脂力は強いのが特徴になります。
乾燥毛やダメージ毛の方が使用すると、髪のまとまりが悪くなることもあるので注意しましょう。
また、すすぎ残しがあると石けんカスが溜まり、フケの原因になってしまうのでシャンプー後はしっかりとすすいでください。
主な石けん系の成分表示
- 石けん素地
- 石けん分
- 脂肪酸Na
- 脂肪酸K
シリコンシャンプーとノンシリコンシャンプー
昨今ではシリコンが悪者であるかのように『ノンシリコン処方』などシリコンが配合されていないことを強調する市販製品が多く見られます。
ではシリコンは本当に悪者なのでしょうか?
結論から言ってしまえばシリコン自体は悪さをする成分ではありません。
しかし、髪にシリコンが必要以上に蓄積され続ければ、オイル毛というベタつきのある髪になってしまうこともあります。
オイル毛について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
実際のシリコンの役割と、シリコンシャンプーとノンシリコンシャンプーの違いを見ていきましょう。
シリコンの影響
シリコンとは、『シリコーン』と呼ばれる合成化合物で、シャンプーなどに使用されるものはシリコーンオイルという油です。
人体には無害で安全性のあるもので、トリートメント剤やスタイリング剤、医療用品などにも使われています。
主なシリコンの成分表示
- メチコン
- シロキ
- シリル
- シラン
上記の表示が含まれた成分が書かれていれば、シリコンが入っていると考えていいでしょう。
シリコンは髪を洗う際に、髪のきしみを抑えて指通りをなめらかにしてくれます。
ですので、髪が絡まりやすかったりダメージ毛の方にはオススメです。
ただし、シャンプー後のすすぎが不十分だとシリコンが毛穴に詰まってしまい、抜け毛や頭皮トラブルを引き起こす可能性もあります。
逆にノンシリコンシャンプーはシリコンによるコーティングがないため、軽い仕上がりです。
ボリュームが出づらい方や脂性肌、敏感肌の方はノンシリコンシャンプーの方が良いでしょう。
ノンシリコンシャンプーはシリコンシャンプーと違い、摩擦から髪を守る働きはありません。
また、コーティングによる熱から髪を守る働きもないので、シャンプー後はトリートメントなどでしっかり保湿しましょう。
シャンプーの選び方
シャンプーには大きく分けて4種類の洗浄成分、加えてシリコンインかノンシリコンか、、
などいくつもの種類がありますが、結局何を選べばいのか迷う方がほとんどだと思います。
ここからは実際のシャンプーの選び方を見ていきましょう。
シャンプー選びには
- 髪質から選ぶ
- 肌質から選ぶ
- 悩みから選ぶ
この3パターンに分けて考えていきます。
髪質に合わせたシャンプー
髪質にアプローチする際に注目するべきポイントは
- 硬毛、多毛
- 細毛、猫っ毛
- クセ毛
この3種類に分けて考えるとわかりやすいです。
硬毛、多毛の方
髪が硬い方や量の多い方はボリュームダウンできるものを選ぶと良いでしょう。
アミノ酸系、またはベタイン系メインのシャンプーで、保湿効果のあるシャンプー剤が好ましいです。
成分表示に『〜オイル』や『〜グリセリン』『〜コラーゲン』と表記されているものは保湿効果に優れています。
細毛、猫っ毛の方
髪が細い方や猫っ毛の方は、必ずノンシリコンシャンプーを使いましょう。
シリコンが配合されていると髪を油分でコーティングしてペタッとしやすくなってしまいます。
アミノ酸系のシャンプー剤で、特に『ココイルグルタミン酸2Na』や『〜ケラチン』という成分は髪にハリコシを出してくれる成分なので、配合されているとベターです。
クセ毛の方
クセのある方は硬毛の方同様、保湿成分が配合されているものを選びましょう。
『アルガンオイル』や『椿オイル』、『ひまわり種子油』などは髪を柔らかくしてくれる効果があります。
洗浄成分はアミノ酸系かベタイン系がいいでしょう。
肌質に合わせたシャンプー
お肌の状態に合わせたシャンプー選びは肌トラブルを避けるためにも重要になります。
また、季節によっても乾燥したりベタついたりと変化もあるので、季節ごとに変えてあげることも効果的です。
肌質にアプローチする際には
- 乾燥肌
- 脂性肌
- 敏感肌
この3種類に分けて考えてみます。
乾燥肌の方
乾燥肌の方は、頭皮の油分を取りすぎない優しい洗浄力のシャンプーを使いましょう。
アミノ酸系またはベタイン系のシャンプーがオススメです。
アミノ酸系やベタイン系のシャンプーは必要以上に皮脂を落とさず、頭皮の油分バランスを整えてくれます。
また、マイルドな洗浄力で髪のパサつきやダメージ毛にも効果的です。
脂性肌の方
脂性肌の方は、適度に洗浄力のあるシャンプーを使うと良いでしょう。
ただし、単に洗浄力の強いものを使用してしまうと、髪のパサつきや頭皮の乾燥、髪のダメージを引き起こしてしまいます。
石けん系のシャンプーか、アミノ酸系のシャンプーで2度洗いすることがオススメです。
製品によってはアミノ酸が主成分で、高級アルコール系の洗浄成分がミックスされているものもあるので、そのような製品を選ぶのも良いでしょう。
例)成分表示の4〜5番目までほどアミノ酸系成分(ココイルグルタミン酸Naなど)、5番目以降に高級アルコール系成分(ラウレス硫酸Naなど)の製品
敏感肌の方
敏感肌の方は刺激の少ないシャンプーを使うことが大切です。
敏感肌の方が洗浄力の強いシャンプーを使用すると、痒みや頭皮の荒れを引き起こしてしまう可能性があります。
ベタイン系かつノンシリコンシャンプーがオススメです。
ベタイン系は植物由来の天然成分で、ベビーシャンプーにも使用される優しく低刺激なシャンプーになります。
保湿効果にも優れているので、髪のダメージ補修効果も期待できるでしょう。
お悩みに合わせたシャンプー
髪や頭皮の悩みにフォーカスしてシャンプーを選ぶのも良いでしょう。
今回の悩みとして
- 髪のダメージやパサつき
- エイジング
- 抜け毛
この3つに絞って見ていきます。
髪のダメージやパサつき改善
髪のパサつきやダメージ毛は、保湿することが1番大切です。
アミノ酸系またはベタイン系のシャンプーで、かつ毛髪補修成分が入っているものを選びましょう。
加水分解ケラチンや加水分解シルクやセラミドを配合しているものは毛髪補修効果が高く、ダメージ毛にオススメです。
また、ヘマチンやクエン酸、リンゴ酸などは髪のphを弱酸性に整える働きがあり、手触りの向上やごわつきの改善にも期待できるでしょう。
エイジング対策
年齢を重ねていくと髪も弱くなっていき、水分バランスの乱れやキューティクルの減少などの症状から髪がパサついてきます。
アミノ酸系シャンプーかつ髪にハリコシを与える成分が配合されているものを選ぶと良いでしょう。
フルボ酸やセンブリエキス、γ-ドコサラクトンなどは特に注目のある成分です。
特にγ-ドコサラクトンは熱から髪を守る働きもあるので、ダメージケア効果も期待できます。
抜け毛の予防、改善
男性はもちろん、女性にも意外と多い悩みの抜け毛ですが、対策としては抗酸化作用や血行促進作用のあるものを使うと良いでしょう。
アミノ酸系の低刺激なシャンプーで、オタネニンジン根エキスやショウガエキスなどの血行促進作用のある成分やグリチルリシン酸ジカリウムやサリチル酸などの殺菌効果のある成分を配合している製品がオススメです。
また、抜け毛の原因は頭皮環境が原因になっていたりもするので、1度自分の頭皮の状態をチェックして見ましょう。
まとめ
シャンプーは種類が多すぎて、何を選べばいいのかというのは永遠のテーマの1つですよね。
基本的にはマイルドな洗浄力の『アミノ酸系シャンプー』をベースに考えて見てください。
シリコンなどのコーティング成分や毛髪補修成分はトリートメントなどで補えるため、シャンプーで最も大事なのは『髪や頭皮を傷ませないこと』です。
シャンプーを購入する際は、『髪質×お悩み』や『髪質×肌質』など、かけ合わせて選んでいくのもオススメですよ。
ぜひこの記事を参考にして見てください!